かれこれ三年も前から、植物性廃油(WVO)をバイオディーゼル燃料に変えるセミナーの計画を温めてきたが、様々な理由で見送り続けざるをえなかった。だが、今年(2003年)9月20日、7名の参加者と共に、とうとう基本的な処理方法のデモンストレーションをすることができた!
WVOから作ったバイオディーゼルは、実際とても作りやすく、石油から作られるディーゼルより利点も多い。バイオディーゼルを作る方法について教えてくれるところはいくつかあるが、少量
のバッチを作るなら、「ジャーニー・トゥ・フォーエバー(Journey to
Forever)」のウェブサイト http://journeytoforever.org/jp/biodiesel_mike.html
で紹介されているMike Kelly氏の方法をお薦めする。このウェブサイトでは、Keith
Addisonさんと平賀緑さんが、より環境に優しいライフスタイルを求めるにあたって、非常にわかりやすく有益な情報を提供してくれている。素晴らしいウェブサイトだ。
さて、バイオディーゼル燃料の基本的な作り方・・・。
WVO1リットルをバイオディーゼルにするには、200mlのメタノールと、4−7gの苛性ソーダ(NaOH)が要る。こうした化学物質は比較的容易に入手できるが、皮膚に付着すると大変危険で、眼に入れば失明することもある。化学物質を取り扱う際には、ゴーグルや手袋、プラスティック製の作業着を身につけるなどして、十分な安全対策をとること。
NaOHは、反応を引き起こす触媒となり、水素と炭素を含んでいる脂肪酸グリセリン鎖とエステル鎖の分子を分解する。エステルはメタノールと結合、メチルエステルができる。このメチルエステルは、一般
のディーゼル燃料より濃いだけで、ほぼ同じものだ。
今回のバイオディーゼル作りでは、まず、油を濾過して滴定をし、反応に必要なNaOHの量
を算出。それから、メタノールとNaOH、油を1リットル分、古い調理用ブレンダーで攪拌した後、乾いたペットボトルに移した。反応が完了するまで、8時間。8時間後には、ペットボトルの底にグリセリン、その上にエステルが分離しているのがはっきり分かるだろう。
セミナーでは、その前夜に、前もって別
の1リットル分を反応させておいたので、これから沈殿しているグリセリンを取り除き、洗浄の仕方をデモンストレーションした。産業用の反応器なしで、高品質なバイオディーゼルを作るには、洗浄が欠かせない。脂肪酸や未反応のメタノールが微量
に残っていたりするからだ。
底の方に蛇口と、ホース付きの水槽用エア・コンプレッサーを取り付け、エアーストーンを入れた透明なアクリル製シリンダーを用意、これに1リットルのバイオディーゼルを入れた。50%の水と3%の酢酸(つまり、お酢)を加える。酢酸は、pHバランスを調整する働きがあり、脂肪酸を引きつける。このあたりになると、化学の実験というより、何か料理でもしているような気になってくる。混合物は、おいしそうなサラダドレッシングのようなにおいがするのだ。コンプレッサーのスイッチを入れると、一時間ほど、バイオディーゼルから泡と共に、水分が浮きあがる。その後、8時間、混合物をそっとしておけば、淡い黄金色の燃料が、真っ白いミルク色をした水の上に分離する。念のため、この水を抜き取ったら、きれいな水を50%加えて、再びコンプレッサーのスイッチを入れる。この日の深夜、三度目の洗浄も行った。
翌朝、底に溜まった水(これは、ほとんどきれいな水)を抜き、ディーゼル燃料を温めて、水分とメタノールを確実に取り除いた。濾過をして、一週間、静置すると、非常に美しいバイオディーゼルができあがった。参加者の一人は、自分のポータブル・ディーゼルに使用してみたところ、煙がでなかったと教えてくれた。ESIでは、5ミクロンのフィルターで漉してから、畑のトラクターとパワーシャベルで試用中だ。
2004年には、駒ヶ根市で出されるWVOのリサイクルに協力したいと計画中なので、油を提供してくれるようレストランに声をかけている。一日1000リットルを処理するリサイクル施設をデザインしている。インバイロテック(株)が、このR&Dプロジェクトを支援する予定だ。
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